AIで胃がんの早期発見

理化学研究所国立がん研究センターの共同チームが、

AI(人工知能)を使って、内視鏡画像から早期胃ガンを熟練医並みの精度で自動的に発見するシステムの開発に成功。

 

これが検診に使えれば、

胃ガンの見逃しを減らして、早期発見・早期治療に繋がることが期待できます。

研究チームは、これが医師の判断を支援する装置として実用化を目指すとしている。

 

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この人工知能を使った内視鏡診断支援システム」を開発したのは、

理研光量子工学研究センター(画像情報処理研究チーム)

横田秀夫チームリーダー・竹本智子研究員

国立がん研究センター東病院(消化管内視鏡科)

矢野友規科長・池松弘朗医長・堀圭介医員

らのメンバーによる共同研究チーム。

 

 

共同チームは、 

与えられた多量の画像などから特徴やルールを自律的に学ぶ機械学習の一つで、ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる技術などを使ってAIに学習させた結果、

 

陽性的中率・陰性的中率が極めて高く、

胃炎や胃潰瘍と特徴が似ていて判断が難しい例なども、高い確率で判断できることが分かっています。

一般的に、人工知能による機械学習の正解率は学習データの質と量によって決まるので、

これからより多くの良質なデータを学習に利用すれば、正解率の向上もさらに期待できます。

 

胃ガンの有無に加えて、さらに、その領域まで高精度で自動検出することにも成功したとしています。

(画像処理に掛かる時間は、1枚あたり0.004秒と、将来的なの臨床現場でのリアルタイム自動検出には十分な速度を実現)

 

 

胃ガンは日本では発症数がもっとも多いガンで、

年間約13万人が罹患し、約5万人が命を落としています。

胃ガン治療のキーポイントは、何より早期発見と早期治療です。

ステージ1の5年生存率は95%以上で、

さらに粘膜内でガンが発見された場合は、身体に負担の少ない低侵襲の内視鏡手術での根治が可能です。

しかし、現状では胃ガンは自覚症状が少なく、進行してから発覚するケースが多い。初期の段階では、炎症との区別もつきにくく、専門医でも発見するのが難しいとされています。 

 

 

この共同研究チームは、日本消化器内視鏡学会によるJapan Endoscopy Database project(JED project) との連携によって、早期胃ガンの正解画像をより簡単に収集する仕組みを実現しつつ、

さらに、理化学研究所の科学技術ハブ推進本部 の医科学イノベーションハブ推進プログラムと連携することによって、大量の医療データを自動的に収集し機械学習する仕組みを構築する予定です。

これらによって、さらに早期胃ガンの検出精度を向上させることが可能としています。

今後は、さらに検証を進めて、臨床現場で医師の判断を支援する知能としての早期実用化を目指します。

 

この内視鏡診断支援システムが普及すれば、熟練した内視鏡医がいなくとも胃ガンの早期発見・治療ができるようになって、

根治も可能になり、

医療費の削減にもつながると期待されています。

研究チームは今後さらに改良を進めて、システムの実用化を目指すとしています。