白血球の血液型、日本人は11種類に分類
日本人の遺伝情報を解析した結果、
血液成分の一つである「白血球」の血液型は、大きく11種類に分類できることが分かったと、大阪大の岡田随象教授(遺伝統計学)らの研究チームが発表。
研究チームは、
型の違いによって、ガンや心疾患・糖尿病などの発症や、体格に差が出ることも分かったとしています。
骨髄移植などの際に照合される「白血球」は、免疫機能に関わっているため、この発見によって拒絶反応が問題となる移植医療への活用が期待されるとしています。
この成果は、イギリスの科学誌「ネイチャー・ジェネティクス(電子版)」に掲載されています。
一般的に「血液型」(A、B、O、AB型)と呼ばれるものは、「赤血球」の型のことで、赤血球の表面にある物質の種類によって(ABO遺伝子の個人差)、4つに分類されます。
これに対し、免疫細胞である白血球の型は「HLA」という遺伝子の組み合わせで決まり、主に免疫反応に関係します。
HLA遺伝子は主要なものだけでもA、B、DRB1など8種類、その他にも複数種類あり、遺伝子配列の構造が複雑なので解読が困難で、白血球型の詳細は不明でした。
チームは、最先端の高速解読技術と人工知能(AI)で活用されているデータ解析手法を用いて、日本人1120人のゲノム(遺伝情報)を解析。
HLAに関わる遺伝子が33個あることを突き止めました。
各遺伝子の配列は一人ひとり微妙に違い、配列が近いものをグループ分けすると、大きく11に分類できたとしています。
さらに 日本人の約 17万人分のゲノムや病気、体格などのデータベースと照らし合わせた結果、白血球型によってアレルギー疾患や肺ガン・肝臓ガンといった病気の罹患率など、計52項目で違いがみられることが分かっています。
中には心筋梗塞の発症や身長・肥満など、一見すると免疫とは関係がなさそうな項目も含まれていたとしています。
研究チームの岡田随象 教授は、
「心筋梗塞や体格などにも違いが出たのは意外だった。さらに研究を進めて理由を調べ、医療に役立てたい」と話している。