スマート・バンデージ(絆創膏)
タフツ大学(アメリカ)の研究チームが、
傷の状態を監視して必要に応じて治療までしてくれる『スマートバンデージ(絆創膏)』の開発を進めています。
タフツ大学のセールサミアー教授によると、
生活習慣病の増加に伴って「慢性的な創傷」が増えているとのこと。
正常に治癒した創傷(そうしょう)は、
pH値が5.5~6.5の範囲内ですが、治癒していない感染創傷は6.5よりも高いpH値を示すので、
スマート絆創膏はpH値と温度を検知するセンサーを内蔵していて、
それで創傷の治癒具合を確認します。
治療が必要な時は、センサーからデータを読み取ったマイクロプロセッサがゲルを加熱して、薬剤を放出するという仕組みです。
これらの作業はCPUによって制御されていて、一定の要件が検出された場合に、医師がそこに治療方法をプログラムできるようになっています。
「体温反応薬物担体を含んだヒドロゲルで構成される刺激応答薬物放出システムと、同じ創傷被覆材に備えられた電気で制御される柔軟なヒーターが、要求に応じて薬物を放出する」
また、スマート・バンデージは治療の様子をモニターして、それ以上の治療が必要かどうかを判断してくれます。
(Bluetoothを通じて、現状をリアルタイムで知らせることも可能)
スマート絆創膏の厚みは、3mm以下でマイクロプロセッサ部分は再利用が可能ですが、
その他の部分は使い捨てなので、低コストで作れるようになっているとのこと。
前述のソンカセール教授は、
「内蔵するセンサーや抗生物質を変えることで、スマート絆創膏は創傷以外にも幅広く対応できる可能性がある」
「傷の環境は動的に変化するが、治癒速度は、適時の治療によって高めることができる」
「スマート・バンデージによって慢性の傷の治癒速度を高める方法を探っています」
と語っています。
「戦争以外では、慢性の傷は手足の切断につながる最大の原因のひとつ」
傷を監視して必要に応じてリアルタイムで治療を施してくれて、柔軟で応答性のあるスマート絆創膏が実現すれば、
慢性の傷の感染症を予防し治療を促進しすることで、手足の切断を減らすの決定打となり得ます。
実は、絆創膏にテクノロジーを導入するという考え方は新しいものでもなくて、
スマートな創傷被覆材は、これまでもありました。
でも、このスマートバンデージのアイデアには期待できる部分が数多くあり、
その一つが医師に直接診療してもらわずに、絆創膏だけで治療を行ってくれるところです。
この方式が実現するまでには、長い時間が掛かっています。(このまま実現しない、残念な可能性も大きいのですが…)
このスマートバンデージは次なるステップとして、動物の慢性的な傷でこの技術を試して、実験時と同じ効果があるかどうかを研究するという段階です。