希少難病「FOP」治療薬候補物質を特定

難病「FOP」(進行性骨化性線維異形成症)の発症を抑える化合物2種類を患者の細胞から作製したiPS細胞を使って特定

京都大iPS細胞研究所(CiRA サイラ)と大日本住友製薬の共同研究チームが、

アメリカの科学誌「ステムセルリポーツ」電子版に発表しています。

 

研究チームは、マウスの培養細胞に病態を再現して、4892種類の化合物の中から7種類に候補を限定。

さらに、そこからFOP患者由来のiPS細胞(人口多能性幹細胞)を使った実験で、2種類の化合物が軟骨化に抑制効果があることを突き止めました。

 

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京都大iPS細胞研究所の池谷真准教授は、

今回の化合物について「すぐに治験(臨床試験)とはならないが、薬剤開発の可能性を高めるとともに、FOPのメカニズムを突き止めるのに有効な成果。選択肢を提示して、患者の希望につなげたい」

と話していて、今回とは別の薬が開発できたり複数の薬の組み合わせで効果が高まったりする可能性があるとしています。

 

研究チームは、

2017年8月にも、免疫抑制剤「ラパマイシン」に骨の異常形成を抑える効果があることを確認し、

それを患者に投与して、安全性・有効性を確かめる臨床試験(治験)を始めています。

 

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「FOP」(進行性骨化性線維異形成症)とは、

筋肉や腱・靭帯などの軟部組織の中に異所性骨とよばれる骨組織ができてしまう病気で、約200万人に1人の割合で発症する希少難病です。

 

日本国内での推定患者は80人ほどで、

現在は有効な治療法や治療薬はなく、今回の研究に期待がかかっています。