子宮頸がん防ぐ化合物を開発

子宮頸ガンの発症を抑える抗ウイルス性の化合物を開発したと、京都大の萩原正敏教授(化学生物学)らのグループが発表。

子宮頸ガンの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)の増殖を抑えて、感染後のガン発症を防ぐ予防薬や治療薬の候補として期待されます。

2018年度中に京大病院で子宮頸ガンの前段階にある患者を対象に臨床試験(治験)を始める予定。

3年以内での実用化を目指すとしています。

この成果は、アメリカ医学誌電子版に掲載されています。

 

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HPV(ヒトパピローマウイルスは、主に性行為によって多くの女性が一度は感染するが、稀に感染が長く続きガンの前段階を経て、子宮頸(けい)ガンになる。

子宮頸ガンは、HPV(ヒトパピローマウイルス)感染後に、子宮頸部でHPVが増えて異常な形の細胞が現れる「異形成」という段階を経て、そのうち数%の患者にガンが生じるとされています。

 

 

京都大の研究チームは、

HPVの増殖を抑える化合物を開発、これをHPVに感染させたヒトの上皮細胞に体外での実験でこの化合物を投与。

2週間後に観察した結果、増殖がほぼ止まったことが確認。

さらに、人の子宮頸ガン細胞を移植したマウスに化合物を服用させると、3週間後には増殖が3割ほど抑えられています。

投与によるマウスへの副作用は確認されていません。

人へは膣(ちつ)からの投与を予定している。

 

子宮頚ガンは、

年間 1万人ほどが罹患し、約 2900人が死亡していて、患者数・死亡者数とも近年増加傾向にあります。

特に、20歳~40歳台の若い世代での罹患が増加しています。

HPV感染予防ワクチン(子宮頸がんワクチン)の導⼊が世界で進みつつあるが、日本での普及率は0.5%を下回っています。

そのため、子宮頸がんの罹患者数は今後も増加が続くと予想されます。

また、1度 HPVに感染した⼈ではHPVワクチンによる予防効果を得られません。

京都大の萩原正敏教授(化学生物学)は、「予防薬や治療薬として子宮頸がんを根絶できる可能性がある」と話しています。

 

子宮頸ガンをめぐっては、2013年4月から小学6年~高校1年に相当する女子を対象にHPVワクチン接種が原則無料の定期接種となっていますが、接種後に身体の痺れや痛みといった副反応が報告されたとして、厚生労働省は2013年6月から積極的な接種の勧奨を中止しています。