コモドドラゴンで新薬開発

『ドラゴンの血で傷を癒やす』

インドネシアのコモド島などに生息する世界最大級のトカゲで、コモドドラゴン(コモドオオトカゲとも呼ばれます)の血液成分を参考に作った物質から、

強い抗菌作用と傷の治癒を早める効果が確認されました。

 

近年は、抗生物質が効かないような耐性菌も増えていて、これから新薬の開発が期待されます。

 

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ジョージメイソン大学(アメリカ)の研究チームは、

コモドドラゴンが、自身の唾液に含まれる細菌には感染しない点に着目。

コモドドラゴンの血液中の抗菌ペプチド(アミノ酸化合物)を参考に、別のペプチド「DRGN-1」を人工的に作製し、多くの抗生物質に耐性を持つ多剤耐性菌として知られる緑膿菌や黄色ブドウ球菌に使用すると、菌の活動を抑える抗菌活性が現れるほか、細菌が自身を守る膜である「バイオフィルム」を壊して増殖を強く抑制し、

しかも、これらの菌を感染させたマウスの傷口に塗布すると、傷の治りを早める効果もあったとしています。

 

そもそも研究者がコモドオオトカゲに注目したのは、

彼らは足の切断のような重症や不潔な環境でも不思議なことに感染症を起こさず、生き残る力があるからだそうです。

 

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コモドドラゴンは、インドネシアの固有種で絶滅危惧種でもあり、

今回の研究でも、血液サンプルはフロリダのセントオーガスティン・ワニファーム動物公園で飼育している体重45キロほどのオスから採取されています。

(飼育係が気をそらしている隙に尻尾から採取したと言われています。)

 

コモドドラゴンの血液には抗生物質候補が豊富に含まれていて、

40種以上の物質を単離して、それらを検査をしている最中です。

 

ますます多くの細菌が既存の薬剤に対して耐性を身につけている昨今では、新しい抗生物質の開発が急務となっています。