iPS細胞での「角膜移植」を阪大が治験へ

大阪大の西田幸二教授(眼科学)らの研究チームの、

「ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した角膜の細胞を移植する」臨床研究計画が、大阪大の審査委員会で(2018年12月)了承され、厚生労働省に申請。

審議を経て承認を得られれば、2019年5~6月頃には1例目の移植を実施するとしています。

(阪大でのiPS細胞を使った臨床研究では、2018年5月に心臓病治療が既に、厚労省に認められています)

 

学内での審査委員会では、

移植した細胞の安全性やガン化リスクなどを議論。

計画自体への異論などはなく、患者への説明文書を分かりやすく修正するなどの条件付きで認められています。

 

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計画では、阪大の西田幸二教授(眼科)らのチームが、

成人で「角膜上皮幹細胞疲弊症」の重症患者4人を対象に、

京都大に備蓄された他人のiPS細胞から角膜の細胞に変化させて、厚さ約 0.05mmのシート状にした後、移植手術します。

iPS細胞で懸念される腫瘍化が起きないかなど、安全性や有効性を確かめます。

移植した細胞が角膜を再生すると期待されている。

 

この「角膜上皮幹細胞疲弊症」は、

黒目の表面を覆う「角膜」(角膜とは、目の中央にある直径 約11mm、厚さ 約0.5mmの、黒目の表面を覆う透明な膜で、レンズの役割を持ちます。)を新たにつくる「幹細胞」がケガなどで失われて、視力が落ち、失明することもある病気です。

厚労省によると、角膜上皮幹細胞疲弊症の患者を含む角膜移植の希望者は、1600人ほどと言われています。 

治療には他人の角膜を移植する方法がありますが、拒絶反応の心配があります。

さらに、日本国内での提供数は希望者の半分くらいで慢性的に不足していて、海外からの輸入に頼っているのが現状で、ドナー不足の問題もあります。

このiPS細胞での角膜移植が実用化されて、不足分が補えるようになることが期待されます。

 

西田教授のコメント

「臨床研究は第一歩。一般的な治療に発展させていくことが非常に大事。この手法を安全に早く患者さんに届けたい」

「iPS細胞を使えば品質が高く、より治療効果を見込める移植用の角膜を作製できる。6年後の保険適用を目指し、計画を進めたい。」

 

iPS細胞を使った目の再生医療の臨床研究は、2014年に理化学研究所などが、

世界で初めて網膜の細胞を移植する手術を実施していますが、

角膜の疾患についての臨床研究は今回が初めてとなります。