オンライン診療(遠隔診療)
高齢化の進む過疎地などで 医療機関への通院が困難な患者が対象の「オンライン診療」(遠隔診療)の取り組みが広がっています。
(パソコンやをスマートフォンを使って医師が患者と対面せずに診断して、リアルタイムで処方などの診察をする「遠隔診療」は、「オンライン診療」と呼称が統一されています。)
2018年度の診療報酬改定で遠隔診療の評価を新たに設けることを示すなど、
政府も普及に向けて動きだしています。
これを受けて、
医療関連業界では遠隔診療に活用する医療デバイスの開発や、患者が利用するネットワーク構築への動きが活発化していて、
目指すのは、日常の疾患モニタリングから、未病の改善や予防、そして重症化の阻止です。
オンライン診療のメリットは、
何といっても病院に出かける手間や待ち時間を省けること。
実際の診察は5分で終わるのに、移動時間や待ち時間を考えると半日会社を休むことも少なくありません。
さらに、待合室で他の病気に感染するリスクも回避できますね。
日本各地で少子高齢化が進む中で、
医師不足や地域によって医療機関の偏在が大きな社会課題となっています。
特に過疎地での高齢化が進み、都市部にある高度医療機関の診療が受けにくいという現状があります。
診察以外にも、健康相談のサービスとしての利用方法もあります。
ちょっと不安に思っているけど、わざわざ受診するほどでもないといった健康上の悩みも相談できます。
また、いくつか受診したけれど原因が分からない時や、通院していてもなかなか治らずセカンドオピニオンを求めたい時にも、オンラインであれば相談しやすいと思います。
ただし、本来のセカンドオピニオンとは、かかりつけの担当医にその旨を伝えて診療情報提供書を作成してもらったり、検査データを提供してもらって別の医師に意見を求めるものです。
オンライン上ということであれば、口頭で症状を伝え、服用している薬を見てもらうなど、あくまでアドバイスを求める程度ということになりますが、不安の解消にはつながります。
一方で、利用拡大には課題もあります。
現在は患者の自宅と医療機関とを結ぶ場合は遠隔診療を受けることができますが、自宅に通信環境がない患者が公民館などの公共施設で診療を受けることは医療法上できない。また、遠隔診療を提供する医療機関も、対面診療に比べて請求できる診療報酬が少ないことが導入の障壁となっています。
他にも、患者が自分でスマホやタブレットの操作をスムーズに行えるような環境整備の問題もあります。
家族の助けが得られない場合などでも操作できるようなサポート体制の構築や、さらなる簡易なデバイス操作とアクセス方法の検討が求められます。
また、日々計測している体温や血圧のデータをスマホやタブレットに取り込んで、医師がそれらをチェックしながら診療できる便利な仕組みもあるので、そうした操作の流れも患者自身が覚えて使いこなせるようにならないといけません。