フライドポテトに使う物質で毛髪再生
脱毛症(ハゲ)の画期的な治療法かもしれない。
秘密は、マクドナルドがフライドポテトを作る際に使っている化学物質にある!?
2013年に「毛髪クリニックリーブ21」が発表した独自調査によると、
日本だけでも、およそ4200万人が薄毛・脱毛の進行に悩んでいるという結果が出ています。
注目を集めているのが、
アメリカのウェブサイト『ニューズウィーク』で報じられた、「マクドナルドのフライの化学物質がハゲを治すかもしれない」という記事。
横浜国立大学の幹細胞研究チームが、
マウスの毛髪を大量再生させることに成功して、話題になっています。
学術誌のバイオマテリアルで発表されたこの研究によると、
横浜国立大学の幹細胞研究チームは、全く新しい方法で「毛包原基(HFG)」の大量作製をすることに成功。
注目は、「ジメチルポリシロキサン」というシリコンの一種で、
マクドナルドがフライドポテトを揚げる際に油が泡立つのを防ぐために加える化学物質。
毛包原基とは、
毛包(毛を産生する器官で、毛包のうちの皮膚表面から見ることのできる部分は一般に毛穴と呼ばれている)の発達を促す細胞であり、脱毛研究の重要なカギとなります。
研究チームによると、ジメチルポリシロキサンを使用したことが今回の成果を決定づけたと言います。(本来、ジメチルポリシロキサンは液状の消泡作用をもつ化合物で、胃腸のガスに作用する医薬品などにも使われるものです。)
「毛包原基を大量作製するためのカギは、培養器に使う基材を何にするかということだった」
「培養器の底に、酸素透過性の高いジメチルポリシロキサンを使ったところ、大変うまくいった」
「一様に並べられた毛包原基を、毛のないマウスの背中に注入したところ、有効な毛包となって毛穴を作れることが示された」
と論文で述べています。
研究チームはこのやり方で、5000の毛包原基を一度に作製。
次に、毛包原基チップ(「ウェル」と呼ばれるマイクロサイズの孔が約300あるマイクロウェルアレイに、毛包原基を並べたもの)を用意し、それをマウスの体に移植した。
福田教授とその研究チームは、
その数日以内にチップを移植したマウスの背中の部分に黒い毛が生えているのを確認。
この方法で毛包原基が生産されたのは今回が始めてとのことですが、
将来的にはヒトへの応用も可能とのこと。
福田教授は、
「シンプルですが、安定した将来性のある方法です。我々はこの技術が人間の毛髪再生医療を進展させ、男性ホルモン型の脱毛症に貢献できることを望んでいます」
「この技術によって、脱毛症の治療などの毛髪再生医療を進歩させ、男性ホルモン型脱毛症といった脱毛の治療に役立つことを期待している」
と話しています。
2016年のアメリカにおける脱毛治療薬製造業界は60億ドル規模でした。
その売り上げには、毛髪回復のための植毛といった毛髪再生施術も含まれている。
この発表を受けて、
「ジメチルポリシロキサン」がフライドポテトの調理の際使われている」という報道がされたため、
研究チームには、薄毛治療にはどの位フライドポテトを食べればいいのかといった
質問が多く寄せられたそうですが、
福田教授は、
「どんなにフライドポテトを食べても、毛は増えません。ネット上で拡散してしまった完全な誤解です」と語っています。
同チームは、毛髪再生医薬品の研究者らからも、多くの問い合わせを受けているそうです。
今回のこの実験は、
マクドナルドのポテトを揚げるときに油の泡立ちを抑えるために使われている化学物質を使用したというだけで、
「マクドナルドのポテトを食べればハゲが治る」わけではありません。
福田教授は、
「同物質を摂取しても直接発毛に関係するわけではない。
今後は5年ほどかけて、ヒトの細胞で同じ実験が成功するかどうか試していく。
一般の人の手に渡るまでには、10年くらいの年月がかかると考えていて、金額的には、植毛の治療法と同じくらいにできればいいと思っています。」